ルネス総合法律事務所

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法律コラムcolumn

2022.02.25

労働法

「パワハラ指針」とは何か?①

「パワーハラスメント」は今や誰もが知っている言葉です。このパワーハラスメントについて「パワハラ指針」というものが定められました。どのようなものでしょうか。

「パワハラ指針」には根拠となる法律があります。「労働施策の総合的な推進及び労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」略して「労働施策総合推進法」というものです。もともと「雇用対策法」という法律でしたが、題名が変わりました。

労働施策総合推進法には、令和元年6月の改正でパワハラに関する章が新たに設けられました。条文では、パワハラの定義、雇用管理上の措置、不利益取扱いの禁止などが定められています。そして事業主がなすべき「雇用管理上必要な措置」の内容などについて、厚生労働大臣が指針を定めることとされたのです(30条の2第3項)。このような方式は、男女雇用機会均等法に基づく「セクハラ指針」「パワハラ指針」でも見られます。

「パワハラ指針」の正式な題名は「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」です。

指針では、パワハラを以下のように定義しました。「職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない」 パワハラに当たる言動の類型や措置義務の内容は次回ご紹介します。

(弁護士 軽部 龍太郎)